INSIGHTS インサイト
月間約3万人が利用するデジタルマップ i+Land nagasakiの回遊体験を支える、ビザビの伴走型支援
- 対談記事
株式会社KPG HOTEL&RESORT

長崎市・伊王島に位置する「i+Land nagasaki」は、約16万㎡の広大な敷地に、宿泊施設や温浴施設、レストラン、アクティビティなど多彩なコンテンツが点在するエンターテインメントリゾートです。その一方で、来場者にとっては目的地までの経路や各施設の営業時間が分かりにくく、お客様にご負担をおかけすることもありました。そこでビザビは、施設の位置関係や来場方法、施設内の移動手段、営業時間などの情報を整理し、スマートフォン上で確認できるデジタルマップ「メタマップ」を活用した案内環境を構築しました。導入の背景から約半年にわたる検討、公開後に生まれた変化まで、株式会社KPG HOTEL&RESORTとビザビの担当者に聞きました。
—100を超えるコンテンツが点在。広大なリゾートならではの案内課題
まず、i+Land nagasakiがどのような施設なのか教えてください。
- KPG
- 小さなお子様から大人まで「幅広い世代のすべての方に楽しんでもらう」のがコンセプトのリゾート施設です。約16万㎡の敷地に、リゾートホテルのほか天然温泉・スパ・レストラン・アクティビティなど100を超えるコンテンツがあります。また、施設やコンテンツは固定されているわけではありません。新しいものが増えたり、シーズンによって内容が変わったりと、常に新しい「顔」が見えることもi+Land nagasakiの特徴です。
広大な施設だからこそ、案内面では難しさもあったのでしょうか。
- KPG
- そうですね。広い敷地にコンテンツが点在しているため、お客様からも「分かりづらい」と言われることがよくありました。単に敷地が広いだけではなく、施設用地のすぐ外が公道だったり、ほかの方の土地だったりと、施設そのものが伊王島の中に溶け込むように点在しています。島への来場方法も船、バス、自動車などさまざまですし、施設内に入ってからも徒歩、自転車、自動車と、人によって移動方法が違います。
そうした複数の要素が重なって、「分かりづらさ」がより複雑になっていました。

—紙でもGoogleマップでも解決できない。「分かりにくさ」からの脱却
デジタルマップの導入は、以前から検討されていたのでしょうか。
- KPG
- そうですね。以前から、「オリジナルのマップをつくらないといけないのでは」という考えは持っていました。Googleマップでは公道上の検索はできますが、施設の中の細かな経路まで案内するには限界があります。いろいろな会社にも相談していて、「施設内を案内するのであれば、オリジナルのマップが必要」という話は聞いていました。どこかにお願いできないかと探していた中で、展示会をきっかけにビザビさんとご縁があり、デジタルマップを知りました。
- ビザビ
- お話を伺って、i+Land nagasakiでは施設の場所を示すだけでは不十分だと考えました。徒歩や自転車、自動車といった移動手段に応じた経路が必要ですし、目的地に着いた後も「何ができるのか」「何時まで利用できるのか」といった情報が必要です。
そうした情報を一つの画面に集約でき、運用開始後も内容を更新していける。その点で、デジタルマップが施設の特性に合っていると考えました。
そこから、実際のマップづくりはどのように進んでいったのでしょうか。
- KPG
- まずは、私たちが抱えていた案内上の課題や、施設特有の事情をビザビさんに共有することから始めました。
施設用地と公道、私有地が混在していること。島へのアクセス方法が複数あること。施設内での移動方法も一つではないこと。さらに、法律や条例による制約があり、看板を自由に増やせるわけでもありません。
「分かりづらい」という一言の裏側に、どういう事情があるのかを一つひとつ説明していきました。 - ビザビ
- 私たちが重視したのは、ツールを導入すること自体ではなく、i+Land nagasakiを訪れる方が実際に迷わず移動できる状態をつくることでした。そのためには、まず私たち自身が施設を理解しなければいけません。
KPGさんからかなり細かな情報を共有していただき、しばらくは伊王島の地図とずっとにらめっこしていました。オンラインで情報を伺うだけでは分からない部分も多かったため、1泊2日で現地に伺いました。敷地内を実際に歩きながら、施設間の距離や経路、移動手段、利用者からの見え方を確認し、必要な情報を整理しました。 - KPG
- 私たち自身、紙のマップを10年以上つくりながら、「どう表現すれば伝わるのか」をずっと考えてきました。その情報をビザビさんが細かく聞き取って、実際に現地まで見てくださった。こうしたやり取りを重ね、リリースまでは半年ほどかかりました。
i+Land nagasakiの施設・移動経路をまとめたデジタルマップ
—「場所」だけではない。経路、営業時間、施設情報を一つのマップに
デジタルマップには、どのような情報を載せたのでしょうか。
- ビザビ
- 単に施設の位置をピンで示すだけでは、今回の課題は解決できません。i+Land nagasakiでは、徒歩、自転車、自動車など複数の移動方法があるため、その違いも踏まえて経路を整理していきました。「どの情報をどう色分けするか」「どう表示すれば違いが伝わるか」といった見せ方も細かく相談しました。
さらに、マップ上のスポットを選ぶと、施設の説明や営業時間などもスマートフォン上で確認できる仕様になっています。「どこにあるか」だけではなく、「どう行くか」「そこで何ができるか」「何時まで利用できるか」まで、滞在中に必要な情報をデジタルマップの中で確認できるようにしました。
徒歩、自転車、自動車の3パターンで経路案内を検索できる。複数経路を組み合わせた行き方も検索可能。
- KPG
- 例えば、i+Land nagasakiには温浴施設が3カ所ありますが、営業時間はすべて同じではありません。以前なら、「温泉は何時から開くんだろう」と思ったときにスタッフに聞いたり、手元の資料を確認したりする必要がありました。今は自分のスマートフォンで行きたい施設を選べば、営業時間や施設情報をその場で確認できます。
施設のアイコンをクリックすると、営業時間や問い合わせ先などの情報が表示される。
- ビザビ
- 情報を更新していける点も、i+Land nagasakiとの相性が良かったと思います。
- KPG
- そうですね。i+Land nagasakiはコンテンツの入れ替わりが多く、進化していく施設です。紙のパンフレットでは、どうしても情報の変化に追いつきにくい。その点でも、公開した後に情報を更新していけるデジタルマップは、施設の特性に合っていました。
—案内環境の改善によって生まれた、お客様とスタッフの変化
公開後、お客様やスタッフにどのような変化がありましたか。
- KPG
- 以前は「分かりづらかった」「もう少しこうしてくれたら分かりやすいのに」といったお声をいただくことがありましたが、デジタルマップの導入後は、施設の場所や営業時間が分かりにくいという声をいただく機会が、以前より減ったと感じています。チェックイン時のご案内にも活用しており、スタッフにとっても案内を補助する手段の一つになっています。
今では、このマップがない状態は考えにくいですね。
実際に、どれくらい利用されているのでしょうか。
- ビザビ
- 直近1カ月では約3万人が利用しており、多くの来場者に必要とされる案内手段として定着しつつあります。
—施設を知るKPGと、デジタルマップ利用者の視点で課題を捉えるビザビ
ビザビの提案や進行について、特に評価いただいた点を教えてください。
- KPG
- まず、非常に丁寧に対応していただいたことです。改めてメールを検索すると、本当にものすごい数のやり取りをしています。会社対会社というよりも、人対人で、お互いの考えていることを理解しながら進めてもらった感覚があります。そういったところに、担当者の人柄だけではなく、ビザビさんの社風のようなものも感じました。
- ビザビ
- KPGさんから位置関係や運用上の事情を具体的に共有いただけたことも、精度の高いマップづくりに繋がったと思っています。複雑な施設の状況を、言葉やイラストを使って具体的に共有していただけたので、こちらも理解を深めることができました。本当に双方の知見を持ち寄ってつくったマップだと思います。
- KPG
- もう一つ大きかったのが、デジタルマップそのものの技術面です。i+Land nagasakiでは、細かな施設や経路が多いため、来場者が必要な情報を確認しやすく、施設側でも継続的に運用できる案内方法が必要でした。
また、マップそのものの動きが悪ければ、それだけで利用者のストレスになり、使われなくなってしまいます。今回導入したデジタルマップは、そうした部分でも使いやすかった。技術的なところも含めて評価し、ビザビさんにお願いしました。
—一つの導入で終わらせず、次の課題解決へ
デジタルマップの導入は、別の施設でも検討しているそうですね。
- KPG
- はい。グループで新しくオープンした施設にも、同じデジタルマップを導入することになり、引き続きビザビさんに担当していただいています。
また、i+Land nagasakiの施設自体もこれからも変化していくので、デジタルマップもそれに合わせて進化させていきたいと考えています。 - ビザビ
- 弊社としても、今回のプロジェクトを通じて、デジタルマップは単なる案内ツールではなく、施設内の回遊や滞在体験を支える基盤になり得ると実感しました。
今後も利用状況や現場の声を踏まえて改善を重ねるとともに、地域や施設ごとに異なる課題を丁寧に捉え、最適な体験設計につなげていきたいと考えています。
—対談メンバー
大塚 秀樹(おおつか ひでき)
株式会社KPG HOTEL&RESORT i+Land nagasaki 総支配人
松山 貴彦(まつやま たかひこ)
株式会社ビザビ 東京オフィスマネージャー
